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【原発事故の危険性】放射能のリスクはタバコ・酒以下?火力より安全?

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・原発は事故が起こると危険っていうけど,実際のリスクはどのくらいなの?
・放射線でガンになる危険性ってどのくらい?
・火力発電と比べて原発は危険なの?

結論から言うと,皆が思ってるほど危険ではありません.東大の授業で衝撃の事実を知ったので,お伝えします.

その一つが「原発事故による放射線で死亡するリスクはタバコや飲酒による死亡リスク以下」だということです.

他にも「自分が何も分かっていなかったこと」が分かって衝撃を受けました.最後にはリスク心理学とも絡めて分かりやすくまとめます.

この記事を読むことで,「原発の危険性」を客観的なデータと共に知ることができます.最後までじっくり読んでください.

 

原発事故による放射線の危険性

多くの人が原発事故と聞いて恐れるのは放射線被ばくによってガンになるリスクが高まることでしょう.

しかし,実際には放射線を浴びてもガンになるリスクはほとんど高まりません.その根拠を国立がん研究センターなどの研究結果と共に示していきます.

普通に生活していてもガンになる

そもそもガンになる要因として,放射線被ばく以外にも,遺伝や生活習慣など様々なものがあります(下図).

 

f:id:toudain:20190202231419j:plain引用:文部科学省「放射線等に関する副読本」

 

放射線だけががんになる原因じゃないんだね.

その通り.
・遺伝
・加齢
・生活習慣
・ウイルス
など色んな要因があるんだ.

さらに,ガンになる相対リスクを要因別にまとめます.

通常,放射線作業者の被ばく線量は
・多く見積もって5年で100mSv(ミリシーベルト)
・事故が起こった際の福島第一原発でも250mSv
ということを頭に入れて見てください.
(出典:ICRP Pub.60 日本アイソトープ協会)

要因 がんになるリスク
1000~2000mSvの放射線を受けた場合 1.8倍
喫煙・飲酒(毎日3合以上) 1.6倍
痩せ過ぎ 1.29倍
肥満 1.22倍
200~500mSvの放射線を受けた場合
(事故当時の福島第一原発の作業員でもこのレベル)
1.19倍
運動不足 1.15~1.19倍
塩分の取りすぎ 1.11~1.15倍
100~200mSvの放射線を受けた場合
(放射線作業者がこのレベル)
1.08倍
野菜不足 1.06倍

ガンになるリスクは喫煙なら非喫煙者など基準となるグループと比べ,何倍がんになるリスクが高くなるか(相対リスク)を示している. 
出典:日本原子力文化振興財団「放射線のはなし」

事故当時の原発作業員でも生活習慣でガンになるリスクと同じくらいなんだね.

そうだね.喫煙・飲酒にいたっては,原発作業員よりもガンになるリスクが高いんだ.

放射線が原因のガンによる死亡率は1%

続いて,ガンによる死亡率を見てみます.下のグラフで特に赤い部分(放射線のみによる死亡割合の増加分)に着目して見てください.

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出典:放射線医学総合研究所

放射線のみが原因のがん死亡率って1%しかないんだ!

びっくりだよね~.そもそも,日本人のがんによる死亡率って30%もあるんだね.それが原発作業員レベルの放射線を浴びても31%に増えるだけなんだ.

火力発電と比べた原発の危険性

原発事故の死者数は60人?

原発事故による死亡リスクについて見てきましたが,実際に死亡した人数はどれくらいなのでしょうか?

世界最大のチェルノブイリでの原発事故では

  • 消化作業員が約50人
  • 放射線汚染されたミルクを飲んだ子供が10人

合計約60人が死亡したとされています.(出典:GERPの報告書

ただ,直接確認されているのが約60人というだけで,放射線の影響により死亡した人数はもっと多いかもしれません.

実はこの推定はめちゃめちゃ難しいようです.原発事故の放射線が原因なのか,その他の原因によって死亡したのかの判断が難しいからです.

国際がん研究機関(IARC)のCardisらはチェルノブイリ原発事故の死亡者を4000人から16000人と推定しています.幅があるのは調査対象集団やモデルの違いによるものです.(出典:実際の論文日本語のまとめ

注意

原発事故での死亡者数はネットで見ても色んな人が色んなことを言ってます.研究者ですら推定に苦労しているのに,一般人が断定的に言っているものはまず無視して良いです.

  • 引用元が示されているか
  • 信頼できる研究機関のデータか

よく確認して,批判なりすべきでしょう.

なんか,急に東大生っぽいね.

まあ,ネットで正しい情報を見抜く力は大事だからね.

火力発電での死者数は1000万人?

火力発電で死亡ってどういうこと?

原発事故でいう放射線と同じように,火力発電には大気汚染というリスクがあるんだ.

しかもこのリスクは事故が起こっていなくても存在します.

WHO(世界保健機構)は全世界で毎年700万人が大気汚染により死亡していると推定しています.

特に,中国の大気汚染問題は深刻で,2013年には36万6000人が石炭火力による大気汚染によって死亡したと推定されています.(出典:The New York Times

これは毎年の死亡者なので,50年以上の歴史を持つ石炭火力による大気汚染での累積死亡者数はさらに大きくなるはずです.

原発と火力発電の危険性比較

上で示したように,世界での原発事故の死者数は多く見積もって16000人としてよいでしょう.(福島原発事故での死者数の実際は分かりませんが,16000人と比較すると誤差レベルであることは確かです.)

火力発電の大気汚染による死亡者数は

  • 石炭(火力の燃料は他にも石油,天然ガスなどがあります)
  • 中国
  • 2013年の1年間

と限定しても36万6000人でした.

この数字だけ見ても原子力発電は火力発電と比べて推定死亡者数は圧倒的に少ないことが分かります.

エネルギーあたりの死亡率

原発,火力発電の推定死亡者数で比較してきましたが,さらに分かりやすいデータがあります.

それは発電する電力あたりの死亡率.

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出典:Global Energy Policy Research

石炭火力と石油火力を合わせると原子力の5000倍の死亡率だということが分かります.

ここまでの客観的なデータを知っていれば,「原子力発電は火力発電と比べて危険性があるとは言えない,むしろ安全である」と言えるのではないでしょうか.

もうちょっとでこの記事も終わりです!最後までお付き合いください.

なぜ人はリスクを過大評価するのか

POINT
  • ガンになるリスクは原発作業員より飲酒・喫煙者の方が高い
  • ガンによる死亡率について,生活習慣と比べた放射線被ばくの影響はたかが知れてる
  • 原発事故での放射能漏れより火力発電の大気汚染リスクの方が大きい


これらのデータが示されているにもかかわらず,なぜ世間では過剰に恐れられているのでしょうか?

それは人がリスク認知するときに,上で述べたような単なる確率論ではなく,心理的要因が影響するからです.心理的要因を考える際に下記のモデルが参考になります.

リスク認知の2因子モデル

  1. 恐ろしさ因子
  2. 未知性因子

これらの2つの因子が大きい(恐怖感があったり,知らないことがあったりする)と人々は実際のリスクより過剰に恐れることになるのです.

恐ろしさ因子に関して,人々が感じる恐怖感にはマスコミ報道のバイアスが大きく影響しています.例えば,こんな感じで報道されやすいニュースとされにくいニュースがあります.

  • 報道されやすいニュース:
    殺人,溺死,火災,竜巻など視聴率をとりやすいセンセーショナルな内容

  • 報道されにくいニュース:
    疾病,凍死,自殺など

原発事故の際にもマスコミが過剰に人々の恐怖感をあおっていました.当時,私は中学生でしたが,上で述べたような放射線被ばくでがんになるリスクなどをテレビで見た覚えはありません.

ただ,毎日のように繰り返される報道を見て,少なからず放射線被害の怖さを感じていました.

リスク認知は実際の頻度より報道の頻度の影響を強く受けると言えます.

原発事故以外の報道バイアスの例

・O157
・狂牛病
はメディアで大きく取り扱われていましたが,年間死亡者数は0~100人と少ないです.

対して
・交通事故
・大気汚染
・自殺
・喫煙
はメディアでの取り扱いは大きくありませんが,年間死亡者数は5000人~20万人とかなり多いです.

このように危険性を示す客観的なデータがあるにも関わらず,私たちはマスコミなどのメディアによって恐怖を過剰に感じたり,あまり感じなかったりします

原発の危険性まとめ

POINT
  • ガンになるリスクは原発作業員より飲酒・喫煙者の方が高い
  • ガンによる死亡率について,生活習慣と比べた放射線被ばくの影響はたかが知れてる
  • 原発事故での放射能漏れより火力発電の大気汚染リスクの方が大きい

さらに,「人はニュースで報道されるものほど恐ろしく感じるので,原発のリスクを正しく評価できていない」こともお話ししました.

このような
・リスク認知の性質
・マスコミの性質
を知ったうえで,無暗に恐れるのではなく,正しく理解することができれば風評被害等も減っていくのではないでしょうか.

この記事の内容はできるだけ多くの方に知っていただきたいです.ぜひ拡散お願いします<m(__)m>