今日は東大理科1類に1浪して合格を果たしたゆーちゃんにインタビューしてきました!
これまでで一番詳しく話してくれ,9000字越えです!
(編集で1週間かかりました…)
この記事でわかること・東大合格に向けた戦略
・科目別勉強法
・使った教材全てのレビュー
・受験勉強における失敗談
関連する情報をその都度リンクで張ったので,ブックマークして何度も読むことをオススメします!
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東大を目指すようになったきっかけは?
いつから東大を目指すようになりましたか?
高1の夏くらいからです.
模試の結果を見た高校の先生に勧められ、自分のやりたい学部学科がちょうどあったからです.
やりたいことが決まっているならモチベーションも上がりますよね!
ちなみに,東大には進学選択(進振り)という仕組みがあり,教養学部で2年間学んでから,進学先を選べるので,やりたいことが決まっていない人にもオススメです.
進学選択(進振り)の詳しい話はこちら↓
東大合格に向けての戦略
高校1,2年生のときの戦略
基本的に授業の予習で学習していました。あまり東大を意識することはなく、どちらかというと与えられたレベルの課題をしっかり解けることを目指していました。
これは僕と全く同じです.特に何の科目の予習をしてましたか?
英語,数学,古文です.
これもほとんど僕と同じですね.僕はこれに加えて漢文,現代文の予習もしていました.
詳しい予習方法はこちらで解説してます↓
受験生の時の戦略(現役・浪人時)
現役の時は授業に加え、必要と思われる問題集等を用いて、レベルを東大に見合うレベルまで上げることを意識していました。
具体的に使った問題集は後ほど紹介します.
浪人の時はどうでしたか?
浪人時は予備校の授業を軸として,現役時に曖昧だったところを含めて全て一から組み立てるつもりで基礎の定着を図りました.
これまでインタビューした東大生全員が「基礎が大切」と言っていると思います.
東大2次も基礎があってこそ解けるので,ゆるぎない基礎を身に着ける勉強をしましょう.
勉強する上で一番意識していたことは何ですか?
本質的な部分を理解することです。
むやみやたらに暗記に走らないようにしていました。
これは重要な考え方ですね.
具体例があれば,教えてほしいです.
本質を理解するって安易に言ってしまいましたが、受験においてはその一部を実行することによって、問題を解くのに必要な公式、解法を運用しやすくするものだと思っています。
物理で言うとこんな感じです↓
Oを基準にした位置エネルギーとは「保存力がある地点Pからある地点Oまで物体を動かすときにする仕事」で定義されています。
このことを理解することによって、例えば点電荷の置かれた空間で、無限遠を基準としない静電エネルギーを求めたりする問題が、定義に従って自然と解くことができます。
この意味では受験において本質とは定義が占める割合が大きいと僕は考えます。こういうものの積み重ねは特に理科の問題を解くときに非常に役立ちました。
難しい話をしてしまいましたが,要は「1つ1つの知識をバラバラに暗記するのではなく,全てに共通する本質的な考え方を理解しよう」ということです.
科目別の勉強法,意識していたこと
英語勉強法
単語の暗記に時間を割かず、長文の多読、難しい短文の英文解釈(精読)のバランスを意識しながら勉強しました。
英語の勉強で何を重視すべきかは人によるので,今の自分に何が必要かを見極めることが大事ですね.
これまでたくさんの高校生と話してきたのですが,単語文法や長文読解の勉強はしてるけど,英文解釈の勉強がすっぽり抜け落ちてる人もいました.
以下の記事で詳しく解説してます.
高校1,2年時の勉強(河合の模試)
高校の授業で主に全統記述模試の過去問をずっとやっていて、その予習と授業に集中しました。
高校の授業に集中して,予習するというのは忙しい高校生全員がやるべきことですね.
全統記述模試の過去問をやるのはあまり聞かない勉強なのですが,効果はありましたか?
ありましたよ!
流石河合塾の記述模試というだけあって
・文法問題
・長文問題
・英作問題
のそれぞれが抑えておきたい表現や語句、などを詰め込んでいるため、複数年やることによってかなりの知識を網羅的につけることが出来ました.
特に、長文問題は癖もなく、全訳をするだけでかなりの学力がつきました。
そうなんですね.これは僕も知らなかった勉強法です.信頼のおける河合の過去問だからこそできることかもしれません.
ただ,全統記述模試は市販されていないので,もし問題が手に入らない場合、簡単な解釈系の本(例:入門英文解釈の技術70 )をやると良いと思います。
高校3年時の勉強(他大の過去問)
高3では東北大、九州大学などの難関大の過去問を授業で扱っていたので、そちらで勉強していました。
東北大,九州大学などの過去問は全大問やってましたか?
ぶっちゃけ,これらの大学の過去問勉強が効果的なのか気になります…
東北大、九州大学などの過去問も基本的に全大問やっていました。まず傾向として東大とは違いますが,これは東大が特殊すぎるので致し方がない部分だと思います。
二大学両方は自習の中で触れられない人がほとんどだと思いますが、九州大学の英語は以下の点で特におすすめです。
- 問題文が英語であったり、英作文の前に与えられる説明文が英文であったりと、とにかく英語が多い
- そのため多読の材料に最適かつ問題も良質
⇒純粋な英語の基礎学力の向上に役立つ
東大を目指す人であれば、これ以外にも東大の形式にあった対策はもちろん必要ですが、それらは文が読めるところからのスタートですから、そのスタートラインに立つために有用だと思います。
恥ずかしながら、現役の頃は東大特化の問題を解くことはほとんどなく、東北、九州の問題を多く解いていたために、形式に慣れきっていない状態で本番を迎えてしまいました.
東大の対策は基礎学力がついた後、別に東大の過去問でやるのが良いと思います。
めっちゃ参考になります.
ぼくは英語の基礎学力向上のために,参考書を使ってきましたが,他大の過去問を使うのは面白いなと思いました.
単語,文法,構文といった本当の基礎ができていないのに,これらの過去問をやっても効果的ではありません.
ある程度の基礎力は身に着けてから,やってみるようにしましょう.
浪人時の勉強(英文解釈,英作)
解釈系では「英文解釈教室〈新装版〉」を夏頃からゆっくり読み進めました。
英文解釈はさっきも話しましたが,本当に重要なんですよね.
現役,浪人関係なく,持ってない人はとりあえず買っておきましょう.
また,浪人してからは英作文にも力を入れ「英作文が面白いほど書ける本」を夏頃から直前期にかけて3周しました。この本は以下の点でオススメです.
- 入試に頻出の表現、押さえておきたい文法事項、英作文でやりがちなやってはいけないことの重要事項が、60個の原則とその例題で網羅的に抑えられる
- 英文校正をイギリス人の他、多くの外国人の目が入っているだけあって「よく言われがちなこの表現は使われない」といった事も書かれている
和文英訳だけならこの本一冊で完結出来るのがこの本の魅力であり、著者の竹岡先生も夏休みまでに二周するようおっしゃっていました。
この本ではないですが,僕も入試頻出の表現を網羅した問題集をやっていました.英作文は対策しないと絶対に書けるようにならないので,必ずやっておくようにしましょう.
また,これ以外に予備校で「自由英作文のエッセンス」という講座を取り、自由英作文対策もしていました。
数学勉強法
まず典型パターンを完璧にすることを意識し、予備校のテキストの復習を綿密にしました。
数学勉強法の記事でも書いてますが,数学は
①基本解法パターンの暗記
②入試レベル問題の演習
というステップが重要なんですよね.
高1,2は授業中心で
・赤チャート
・4STEP
を使っていました。
「基本問題網羅系問題集として赤チャートは難しすぎるので、東大でも青チャートで十分」と言われることもある(個人的にもそう思う)のですが、赤チャを使ってみてどうですか?
赤チャは最初から学校で配られたものなので難しすぎるとかそういうことはあまり考えていませんでした.
例題だけを解いていたので,その限りにおいては青チャとそこまで変わらないんじゃないか?と思いました.
なるほど,赤チャと4ステップ両方やるのって時間的にかなりしんどくなかったですか?
4STEPは課題として出て、赤チャは毎週のテスト範囲だったので確かに時間はかなり厳しいんですが、あまり考える時間を設けずに解いていました。
今考えるとこういう解き方が一定レベル以上の問題に太刀打ちできなくなる問題を引き起こしたと思います。
基本解法パターンの暗記とはいえ,自分で考える時間も必要になりますよね.
個人的には基礎を完成させるための問題集としては何か一冊を完璧にこなすことをオススメします.
高3になってからは過去問を古いものから先生に出題してもらって毎日コツコツ解きました。
浪人中は予備校のテキストを完璧にすることを意識し、過去問を再び1月からはじめて15年分解きました。
直近数年の過去問は残しておいて,昔の過去問から解くということは別の東大生もやっていたので,マネしていいかもしれません.
国語勉強法
現代文
読解法の定着を意識しました.
高1,2,3共に学校の授業しかやりませんでした。
浪人して「現代文読解の基礎講義」を中心として,体系的な解法を身に着け、他の問題に適用する練習をしました。
過去問は1年を通して10年分程度を使いました。
現代文は読解法を身に着けず,演習を重ねても無駄なだけなので,まずは基本的な読み方,解き方を身に着けることをオススメします.
古文
高1,2では学校の授業中心でした。文法はあまり深く触ってくれなかったのですが、この時期に本来はやるべきだと思います。
高3では授業以外に過去問を使って多読を意識していました。
浪人してからは文法の基礎を固めることに重きを置き「古文解釈の方法」を夏休みに一周しました。
古文は文法の定着度が得点に直結するので,とにかく早めに文法を完成させましょう.
また世界観を理解するために源氏物語のまんがを読みました。
漫画ではなく本ですが,源氏物語は僕も学校で配られて読みました.
入試でも良く出るし,多読により古文のリズムをつかめるし(英語と同じ),面白いのでオススメです.
漢文
句形を覚えたらあとは熟語の連想をできるように意識していました。
「熟語の連想」とは具体的にどういうことですか?
例えば文章中に「服」という文字が登場するも、フリガナはなく、読みから意味を推測することはできないとします。
このときに
①元服
②服用
③服従
④征服
と4つの熟語を思いつくことが出来れば、
①着る
②用いる(飲む)
③従う
④従わせる
の4つの意味が連想でき、この中から文脈に適した意味を選ぶということです.
英語の語源を単語の中から見つけて意味を推測することに似ているかもしれません.
なるほど,めっちゃ分かりやすいです!
具体的にどんな勉強をしてきましたか?
授業中心でした。高3の2学期以降に過去問を解き始めました。浪人して「漢文ヤマのヤマ」を使い始め、漢文の解き方を初めて知りました。正直遅いです。
古文漢文共に,文法,句法はなるべく早くやっておくべきですよね.
僕の高校では高2の前半までにはどちらも授業で完全に終わらせ,その後ひたすら繰り返して定着させていました.
物理勉強法
公式暗記に走らず式を運動方程式などの基本原則から導けるように意識しました。
これは「本質を理解する」という話でも出てきましたね.
具体的にどんな勉強をしてきましたか?
こんな感じです.
- 高1,2まで授業のみ
- 高3で「重要問題集」を夏から解きはじめた
- 「難系(難問題の系統とその解き方)」を直前期までに例題だけ解いた
- 過去問を10月頃から解いた
僕も「重要問題集」を使っていたのですが,シンプルにまとまっていて良い問題集だと思います.
「難系」「理論物理の道しるべ」は使ったことがないのですが,
・どのレベルの人にオススメか
・使ってみて何が良かった(悪かった)か
教えていただきたいです.
難系(難問題の系統とその解き方)
挙げておいてなんですが、「難系」自体進んで勧められるものではありません。理由としては以下の通りです.
- 改訂で分冊になったことにより、経済的負担が増えた
- 改訂した割に解説が豊富になったわけではなく、誤植も増えた
- 他の問題集で代替可能
まず難系を始める最低限の学力としては、以下の通りです.
- 全統記述模試なら偏差値65レベル
- 駿台全国模試なら偏差値60レベル
このレベルの人でも少々難しいかもしれません。
掲載されている問題の難易度は一概には言えませんが、東大京大レベルでなければ必要でないと考えていいと思います。
自分はこの問題集の例題だけを解きましたが、ところどころ行間を読むのが難しい部分もあったため、浪人してからは使っていません。
演習問題もあるにはあるのですが
・問題数が多すぎること
・その割に解説はないに等しいこと
からよほど物理に自信がない限り,触れないのが妥当かなと思います。
オススメの物理問題集
東大志望の人には以下の参考書がオススメです.
- 「理論物理への道標」
- 「新・物理入門問題演習」
一方でこれらは要求水準が高いため、もし一度買ってみてわからない問題が多いとなってしまった場合、「標準問題精講」が良いと友人から聞きました。
東大合格体験記第2回で別の方も「標準問題精講」が良いと言っていたので「そこまで難しい参考書はちょっと…」という方はこっちを使ってみましょう.
自分の場合は参考書と問題集が一体化した「理論物理への道標」を選びました.
理論物理への道標
「理論物理への道標」は「難系」とは違い、参考書と問題集が一体化したものであるため理論→実戦の流れが身に付きやすい本といえます。
また、微積分や大学数学の範囲も用いているため、大学に入ってからの物理に違和感を覚えることがなくなります。
そのため使う人の要求水準はやや高めで、数3の微積分がある程度わかることが前提です。
物理は微分積分が分かると一気に理解が進むので,微積をもとに説明してくれる参考書は非常にオススメです.
偏差値は難系とほぼ同じくらい(全統模試で65,駿台模試で60)だと思います。
使ってみてよかった点,悪かった点は以下の通りです.
- 問題数が比較的少ないため、網羅が容易
- 解説がしっかりしている
- 参考書部分の中には大学に行ってから学ぶようなこともあり、それらを受験勉強の間に理解するのは時間がもったいない.
受験で使う範囲の内容を取捨選択できるなら,特に物理好きの人にとっては良い参考書だなと感じました.
化学勉強法
苦手な無機は夏休みに集中的にやるなど、どうしても暗記しなければならない部分は早めにやりました。
化学は物理と比べると暗記の比率が高いので,早めにスタートしておく必要がありますよね.
具体的にどんな勉強をしてきたのでしょうか?
高2からしか授業がなかったので正直かなり進度は遅く、実際現役時の受験には間に合っていませんでした。受験期は以下の様に勉強しました.
ペースとしてはかなり遅い方なので、もっと早くすべきだったと後悔しています。
浪人してからは、予備校(駿台)の教材を完璧にしました。夏には「化学特講1」を取り、計算問題をほぼ完璧にしました。
重要問題集は過去問に入る前に僕も使っていた問題集です.
化学の新演習はどんな問題集なのでしょうか?
化学の新演習
化学の新演習のレベルは重要問題集よりやや上で化学が得意とまではいかないが、基本問題は解けるという人向けです。
- 圧倒的に問題数が多い
⇒全体を何周するとかいう使い方はあまりオススメしない - 網羅性が高いため、これが解ければ大方の入試問題に苦労することはない
⇒苦手分野を集中的に解くのが良い - 有機分野に関しては問題数もさることながら難易度もかなり高い
⇒自分の志望大学のレベルに応じて、問題を選んだほうがよい
肝要なのは問題集の問題が解けることではなく、解き方をマスターすることですから、解法暗記になりすぎないようにするべきです。
また、これはあちこちで言われているのですが、有効数字などに関して、ところどころ解答解説が雑な部分があるので注意が必要です。
地理勉強法
思考回路を意識し、知識の運用に重点を置いていました。
「知識の運用」とはどういうことでしょうか?
センター試験の問題を例に説明します.興味がある人は見てみてください.
2020センター試験第5問問2
ざっくり言えば牛乳、小麦、バナナを生産している場所を現している図として正しいものを選べばよい問題です。 誰もこのような図を見たことはないでしょうし、覚えている人はいませんが、持っている知識を運用すれば解けるのが地理の問題です。
恐らく大半の人がクはバナナとわかるはずなので,問題は比較的似ている牛乳と小麦です。
ここでは一つの解法を紹介します。 まず農作物を考えるときに念頭に置くべき事柄は気候です。
小麦が生育する気候は大体年間降水量が500-1000mm(1000mm以上になると稲作が増える)で、ヨーロッパやアメリカなどの過ごしやすい気候が多いことは知識として知っておくべきです。
そのことを念頭に置いておけば、冷帯である中国の東北地方や、ブラジルのアマゾン川に近い熱帯地域では小麦は生産されていないはずですからカが小麦で残ったキが牛乳とわかり、答えは③です。
この例を踏まえて伝えたいことは以下の二つです.
- まず前提条件である知識を身に着ける
- そして一つの問題に対してその知識を色々なところから引き出す
知識をつけるにはもちろん参考書もオススメですが、ニュースや世界ふしぎ発見といった世界を知ることのできるテレビ番組を見ることもおすすめです。
これは本当に参考になります.
他には何をやっていましたか?
現役浪人通じて、先生から与えられるプリントを用いて知識を取り入れ、過去問を解きました。
駿台の岡田先生は非常に良かったです。
受験生活を振り返って後悔してることは?
現役時に春から情報を集め、自分が如何に遅れているかを知っておくべきでした。結果として浪人することになりました。
これは僕も全く同じ後悔をしています.
理系科目の遅れから前期は落ちてしまいました.
(何とか後期試験で滑り込むことができましたが…)
情報収集は本当に重要なので,早めにやっておきましょう.
(後述しますが,東大生に質問できるサービスを作ったので,ぜひ見てください.)
東大受験生へのエール
最後に,来年以降の東大受験生に向けてメッセージをお願いします.
東大に受かれば周りからの待遇は滅茶苦茶良くなりますし、勉強はし放題です!好きな勉強をするためにちょっと受験勉強頑張りましょう!
ありがとうございました!
東大受験において,もっとも重要なのは「正しい情報をもとにして適切な戦略をたてること」だと言えます.
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この記事を書いたゆーちゃんも講師として在籍してます.
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